精神疾患患者の増加とストレスチェック

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ウチのメンタルクリニックでは

 うっちーが通っているメンタルクリニックでは、受付で渡される札に書かれた番号で呼ばれます。最初の頃、色が黄色・白・赤・青になっているのが判らず、ただ初診の時は青札が渡され、二度目からは白だったので、これの区別はついた。で、その他の色もさすがに2年半通っていると黄色がカウンセリング、赤が別の先生と理解ができている。なので通常、うっちーが渡される札は白か黄色。
 で、毎回、午後一での予約で入るので待ち時間は余り無いし、待合室も空いているんだけど、時々、少し遅い時間になると、かなり混み合う。そしてどの時間帯でも青札の人が必ずいる。つまり初診の人が毎回、必ず何人か現れているってことですね。

精神疾患が増えている実感は?

 皆さんの周囲で増えている実感はありますか?私は会社勤めしている頃に「増えているなぁ」と思っていました。最初にいた会社ではバブルの真っ最中で、何回も書いていますが人が壊れるのが当たり前の状況。だけど精神疾患で倒れてしまった人は一人だけ。当時は「重度のノイローゼ」と説明されました。
 後は自律神経失調症になりつつ働き続けていた人。この人は転部をして寛解。その後、私もバブルが崩壊した頃に転部。そこでは若手が一人、仕事をバックレまくって「きっと病んでるな」というのと、一人の同期が考えうる限り2つの理由…失恋と仕事への適正が低かった事で自殺してしまったこと。
 で大きな会社だったので%としては出現しないレベルでしか精神を壊している人とあう機会がありませんでしたね。
 明らかに凄いなと思ったのは、とある会社にいた時、中途で入ったので他の本部に知り合いはなく、たまたま研修で一緒になった他本部の人から「そっちって鬱やなんかっている?」と聴かれ「いや、見える範囲ではいないですね」と会話が始まり、「こっちは2割はいるんですよ。人の入れ替えをしても壊れて行って…。次に倒れる奴の予想ができるくらい」と言う惨状を聴くことになります。
 この会社は上場していて1,000人以上の社員を抱えており、親会社はほぼ日本企業化した外資。役員も、その出身者が多いのですが、IT屋用語でいう「SES」と「自社パッケージ」を中心にした商売。で、その本部で問題になっていたのが自社パッケージの開発・保守部隊だったんですね。これは、ちょっと意外。と言うか、明らかにパッケージ開発とセールストークが乖離しているんだろうな。と思って(私にやりがい搾取をした)上司に聴いたところ「そうなんだよ。あそこ競合がない製品だから、逆に無理に売ってカスタマイズしまくるから、パッケージとして固まってないんだ」と言う話が出てきたんですね。これ、結構、あるあるで本来はパッケージなら、そこそこ直ぐに導入して稼働させる方がお客様もメーカー(ベンダー)も嬉しいのですが、何かとカスタマイズ要望に応じてしまって、パッケージとしての根幹になるソースプログラムの管理がめちゃめちゃ煩雑になったり、どこかでカスタマイズしたものをこぴーすればOKなのに、それが周知されていなくて新規のカスタマイズをしたりで、無駄に作業量が増える上に、カスタマイズしただけ、バグが出たりしてサポート、改善もアホみたいに忙しくなるわけです。
 更に酷いのが、上の理解力で「パッケージだから、それほどリソース(人員)を割く必要がない」なんて割り切って部門を構成しちゃうと、これがもう人を増やしたいと言う現場の要望を上げるだけで山のような事務手続きと説得交渉が生まれてしまう。その上、新機能開発なんてやっていると、根幹になるソースプログラムが安定していないと、どこにどうやって新機能追加のパッチ(追加プログラム)を書けば良いかも判らず、進捗管理もままならないと言う地獄が生まれます。
 で偶々機会があって件のマネージャー氏と再会した時に、こんな話をしたら「その想像…ぴったんこ」と言われる始末…。精神疾患2割で済んでいれば、まだラッキーでしょうね。多分、累計で取ると、もっと罹患率は高いと思います。
 SESはいわゆる「派遣」です。こっちは私も別会社で噛んだ事があるので判りますが、確実にカースト、階層社会が出来ています。お客様>>元請け>>下請け>孫請け>フリーランスぐらいの階級差があり、今では法規制もあってお客様が下請け以下に直接話す事はないのですが、それがあった時代には、かなりの無茶ぶりと命令系統の混乱が生じていました。また、これも元請けが一番の原因ですが、仕事を取るために「過小見積もり」をすることが少なからずあります。こうなると、先程のパッケージ以上に惨劇が繰り広げられ、
 人が足りない→残業ノルマ発生→フリーランス離脱→下請け増員+フリーランス追加→プロジェクト混乱
 で、恐らく離脱したフリーのエンジニアは少なからず精神を病んでいると思われます。(少なからず、元々、精神に傷を持っているフリーのエンジニアとは何度となくお仕事をしたことがあるので…)。
 そのため、以前も日本のIT産業はブラック化しやすいと言う投稿を書いた訳です。
 そして、かつては悪い面も多かったのですが、こうしたカーストの下には中国のエンジニアがいました。彼らの作るものの品質は低いことも多いですし、何よりセキュリティ問題を引き起こす人がいたので、とある業界では「中国の会社、要員はプロジェクトメンバーに入れない」が要求に入っていることもありました。そして現状のように中国人の人件費も上がってくると、寧ろ日本人のフリーランスの方が安く買い叩けてしまうこともあるかと思います。こうして、実感として「精神疾患患者は増えている」と思えるようになったわけです。

統計では?

 統計としては、こんなものがあります。

精神疾患を有する総患者数の推移 より引用

これを見る限り、総数として増えていますが、特に統合失調症とうつの部分が増えていることが判ります。他にはアルツハイマーが増えている事もありますが、ただ、全体に対する比率を考えるとうつ、統合失調症の増加と全体に占める割合が高い事には着目すべきでしょう。

制度は整っているはずなのに?

 この数年、IT屋が謳い文句にしてきたことは「働き方改革」でした。これによって様々の事業会社で無駄な残業や処理が減る!と言い続けてきたわけです。そして行政でもメンタルチェックを義務化するなど、働く環境の改善は行われてきたはずです。が、実態としては減るどころか増えている。これは何故なのでしょう。
 一つには「働き方改革」とは言っても「締切日」や「作業量」は、IT化によって減るはずの作業量を見越して要員を減らしたり、あるいは作業量そのものを増やしている事があるのでは無いかと思います(以前「弊社は○○を導入して開発コストの低減が可能になりました」と言った会社が酷い買い叩きにあって、結果、プロジェクトが超薄利多売になった事実があります)、また「忙しい最中にメンタルチェックで産業医面談なんて無駄!」と言う職場や社員の心境もあるでしょう。これでは働き方は結果としてIT屋が言うような「働きやすい環境」には貢献せず、またメンタルチェックも本来目的を果たせません。更に言えば、こんな話もあります。

産業医の8割、「メンタル不調、過労対応に自信ない」 ストレスチェックも「効果なし」の声

 こんな記事があります。
産業医の8割、「メンタル不調、過労対応に自信ない」 ストレスチェックも「効果なし」の声」(ITメディア)2017年の記事なので、今はもっと改善しているかもしれませんが、このタイトルだけで実情の酷さが判るでしょう。
 実際、私も一度、メンタルチェックの後、産業医面談を受けたことがあります。結果は「うーん、ストレスとか言われても、専門外だからなぁ」でFINISH。医師の専門は内科。心療内科でもなく、内科では無理ですよね。上場企業でしたが非常勤。職場の状況をどこまで把握していたのでしょう。と言う疑問もありますが、そもそも会社が産業医として契約していたのが内科だったので仕方ないのです。
 これで「ストレスチェックに効果あり」だったら精神科なんて必要ないわけです。
 ここから導出できることは
・会社=法令には適した形で実施している
・医師=法令には適した形で実施している
・本人=法令には適しているんだろうが、何の意味もない
となる訳です。そもそも、従業員の精神不調を早期に発見するための制度なのに、これでは医師にとっては美味しい制度になっているだけですよね。

ストレスチェックが意味を為せば、そして意味を為すために

 ストレスチェックに意味がなければ、そもそも真面目にチェックする従業員は少ないでしょう。しかも、マトモにチェックするような人は私のように「もうギリギリ」と自覚がある人ぐらいになりかねません。更に悪いのは、このBlogを書くために調べていると「ストレスチェック クビ」だとか「ストレスチェック 上司」など悪い意味で会社や上司に忖度してしまって実際のストレス具合を書けないでしょう。ここが第一の関門です。そのためには、ストレスチェックが従業員に不利にならない保証を会社がしなければならないでしょうね。
 そして、もう一つはストレスチェックの後の産業医面談は精神科医や心療内科医に任せるべきですし、ストレスがやや高めな従業員を含めてフォローアップの面談をやる必要があります。それも年一回ではなくリモートでも良いので四半期ごとにやらなければ「早期発見」は無理ですよね。精神疾患も早期発見・早期治療が有効なのですから、口先だけで「弊社は従業員を人材ではなく人財だとかんがえています」なんて語るのではなく、実際に精神科医や心療内科医も産業医とするくらいのお金は必要じゃないでしょうか?(特に「弊社は増収増益です」と語るなら尚更です)。
 この事で「軽症うつ」や「適応障害の可能性」程度なら、少し作業量を減らしたり、期の切り替わりで部署異動などを会社が考えなければ意味を成さないですし、意味を成すでしょう。そして、会社は有価証券報告書や公告なみに「従業員の状況」として、メンタルチェックで高ストレスなの人の割合や人数、産業医から「精神疾患」と言われた人の人数を公表するぐらいの事をしても良いのでは?と思います。これで「うちはブラックではない」とキッパリ言えるんじゃないですか?

もう一つの効果

 ストレスチェックの制度自体は、それ相応の意味はあると思っています。ただ、実態がザル過ぎるのです。私も「あと半年待てばストレスチェックだ」と我慢して我慢していた時期があります。その結果、今、2年半を経ても寛解できないのです。
 こんな事がなくなれば、会社の生産性も上がる筈なのです。冒頭に書いたケースでも「次に倒れる奴の予想ができるくらい」というのは「出来る人」から倒れていくからなんですね。責任感が強く、来る仕事に全力で取り組む人から順番になってしまうんです。これじゃ、生産性なんて上がるどころか下がります。生産性が上がれば、それだけ給与もあげられますよね?( ー`дー´)キリッ
 属していたIT業界を例に取り上げましたが、このような事例は、どの産業でも起こっているんじゃないでしょうか?

本日も最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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