「すみません」より「ありがとう」を

ついつい謝るのは

 うつと診断を受ける前から歩くのが遅くなり、同僚と同行する時にも無理しないと同じ歩調にならず、ついつい遅れがちになりました。そうするとどうしても「ごめん」とか「すみません」の言葉が口をついて出てしまいます。
 今も家では奥さんに迷惑を掛けまくっているので「ごめん」が頻繁に出てしまいますね(💦)。
 サラリーマン生活の中では、こちらが悪くなくても謝罪させられる場面がありました。これは、社会人をやっていると経験するのが当たり前なのかもしれませんね。これが癖のようになって、ついつい何かあると「すみません」が出やすくなっている気がします。
 それに迷惑を掛けたら「すみません」と言うのが当たり前のマナーだと思いますから、これを否定する気はありません。

謝らなくても良い場面でも

 ただ、謝らなくても良い場面でも「すみません」と言う事があります。ただ、これを言う場面が、例えばレストランなどで食事が運ばれてきた時に「すみません」。ショッピングをして品物を受け取る時に「すみません」という事もあります。これ、ふと思ったのが「すみません」が適切なんだろうか?と思うんです。人に何かをやってもらったら英語圏なら「Thank you」ですよね。「Sorry」とは言わないはずです。これなんです。
 以前から、ちゃんとしたお店…ちゃんとしていないお店=お客さんにぞんざいな扱いをしたりするお店です…で食事をすれば「ごちそうさま」と言っていました。一時、こんな事を言うのは云々というのが話題になっていましたが、キチンとした食事ができれば感謝の意味でごちそうさまと言うものだと思っています。当然「すみません」と言うことはありません。

なら「ありがとう」を使おう

 という事で、この事に気づいてからは「ありがとう」を口癖にするようにしています。そして「ごちそうさま」の言い方…気持ちですが、言い方が変わってきました。それまでは、よほど馴染みの店でもなければ「お行儀」として言っていたのですが、今は「ありがとう」と同じで気持ちを込めて言うようにしています。
 「ありがとう」、漢字で書けば「有難う」ですよね。つまりは普通には有りにくい事と理解しています。言われた側は、意識もしないで食事を運んだり、商品のレジ打ちをしていたりするのでしょうが、それでも「キチンとしてくれてる!」と感じれば「ありがとう」を言います。正確に言えば「ありがとうございます」ですね。

「ありがとうございます」って…

 通常、何かが終わって謝辞として「ありがとう」を言うときには「ありがとう『ございました』」と言うものだと思います。今から20年ぐらい前ですかね…。寄席で先代 桂文治さんの高座を見たことがあります。この文治さん画家としての顔も持っていたのですが、「江戸弁」に関しては強い思いがあり、幾つかの著作があったと記憶しています。そして、その高座でも落語ではなく「江戸弁講座」になっていました(笑)。その中で、今も強く覚えているのが「江戸っ子は「ありがとうございました」なんて言わねぇ」と言う話です。「した」と言うのは過去形で、感謝はしたけど…そこで終ね。の意味になる。だから「ありがとうございやす(ます)」と言うのが正しい!と言うのですね。これなら、ありがたいことをされたら、その感謝を長く心に留めておきますよっ!と伝わると。
 確かに歌舞伎や時代劇など、田舎者が出てくると「ありがとうごぜいやした」という事が多いのですが、そこそこの地位の人や粋人が言うときには「ありがとうございやす」と言いますよね。ここらへんが、江戸っ子の粋に繋がっていたのかもしれませんね。
 なので、私もちょっと嫌だな…と思ったときには「ありがとうございました」です(笑)。でも、大切な人に感謝するときは「ありがとうございました」と言うようにしています。

単なる個人の感想ですが

 で、この「ありがとう」を「すみません」の代わりに使うようになると、少し前向きになる気がしています。「すみません」って言い続けていると、どうしても萎縮しちゃう気がするのですが「ありがとうございます」にすれば、そんな事はありません。
 それに笑顔で「すみません」だと小馬鹿にしているような雰囲気になってしまいますが、「ありがとう」には笑顔が付けられますよね。
 以前も「貴方は言霊を信じますか?」で言葉の力について書きましたが、「ありがとうございます」にも強い言霊が込められるように考えています。

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