医師とサービス業

 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、先日、父が脳出血で入院しました。その見舞いが、数日後に叶い、その際、看護師・医師・ソーシャルワーカーと会話ができ、そこから気づいた事を書いてみたいと思います。

前提:医療もサービス業であるはずだ

 この投稿を書くにあたり、以下のようなサイトを見つけたので引用します。

https://bcmedi.jp/blog/ideal-way/

医療と一般的なサービス業との違いは営利を目的としないということです。
もちろん医療機関は赤字でもいいというわけではありません。

同上

 確かに医療機関から見れば「受け取っている対価は営利目的では無い」と言えるでしょう。しかし、対価を支払っている患者からすれば、スーパーでの買い物や食事に支払うお金と変わらない事に気づいて頂きたいものです。だからこそ引用元でも使われている「医療サービス」と言う言葉が生まれているのではないでしょうか?その観点で私は医療もサービス業であると考えています。

営利目的でもサービス業を理解していない医療機関もあるのでは?

 そして、私がお世話になっている少なくとも掛かり付けの歯科・内科・精神科のいずれも患者に寄り添うことを強く念頭に置かれています。特に歯科医では、別の歯科が「営利目的」といえるでしょう「自由診療」を中心にしていたとしか思えなかった所だったので、切り替えた先ですから、先の引用元の「営利目的ではない」という前提が崩れている中で更に「営利目的でもサービスを理解されていない」医師・歯科医もいらっしゃるのが現実なのではないでしょうか?

掛かり付けはサービス業と見ても充分に機能していると思っている私

 掛かり付けの歯科・内科・精神科は、患者の視点を充分に理解していると思っています。これまで出会った歯科医で「褒められた」経験はありませんでした。「歯磨きがちゃんとできてないね」「歯茎を痛めるような磨き方してるね」「歯ブラシが合ってないね」など「◯◯ない」ばかり。正直、歯を削られることよりも医師との会話の方が気分が悪くなるくらいでしたし。中には間違って別の歯を削られた経験もあります(今なら、訴えるぞ!クラスです😁)。
 でも、今の歯科医では褒めても貰えます。内科医と精神科医は、お互いに会ったことはなくても、私が間に入ること、そして内科での血液検査からの数値で、それぞれの処方薬を最適化するように努めてくれます。それだけでも充分に感謝すべきレベルだと思います。
 これが、医療サービスなんじゃないでしょうか?
 更に言えば、今通っている薬局でも受付も明るく接してくれますし、処方薬の量が私の認識と違えば積極的に医師とコンタクトを取ってくれます。これは当たり前なのかもしれませんが、とても助かりますよね。

父を診る人々と会話して

 自宅で脳内出血を起こした父は、救急病院に即搬送され、入院をしています。当時は母と妹が医師と会話したそうですが、非常に事務的で言葉の中には「終末期」と言うフレーズも含まれ、妹は特にセンシティブに反応してしまったようです。
 私が見舞いをする時点で、その病院の看板医師の名前ぐらいは調べておいて、母は父の古くからの友人が自宅から病院へ送ってくれ、私は自宅から直接、病院へ向かって現地でおちあいます。
 そして見舞いをし、意志面談へと進む段取りでした。幸い、看護師さんはさすがのベテランで、卒のない対応をしてくれて、意識混濁の中にいる父に対しても人として対応してくれていることに嬉しさすら感じることができました。そして、その場で対応されている医師のお名前を伺うとl看板医師では無いことが解りました。それなりに覚悟をして医師面談に臨むことになります。

医師面談で

 あらかじめ、出血箇所が左脳であることは認識していましたし、先述の通り終末期と言う状態にもあることは覚悟をして医師面談に向かいました。そして、医師のいる診察室へと案内されて、初対面となりました。思った以上に若い医師からMRIやCTの画像で出血箇所などをざっくりと説明され、こちらの質問ターンになります。それには言語回復ができないであろうこと、半身麻痺以上に身体が不自由になろうことなど家族としての覚悟を含めてお話をしています。そして、その上で
・失語状態になった状態でのコミュニケーションは?
・自力での食事の可否(可能性)が少しでもあるのか?
と尋ねると、何れも「無理でしょうね」とあっさりと返されました。同席していた母の表情は、直球過ぎて理解が追いつかないのが明らかな雰囲気なくらいです。
 では、何かフォローの言葉があったか?と言えば皆無。タブレットを使ったコミュニケーションなどを聴いても「さぁ、技術でどうのこうの言うレベルに来れるかというと、かなり疑問ですね」と、また打ち消される。まるでこちらの希望・願いと言う波が消波ブロックに当たって消えていくような印象でした。

前提に戻って

 私は、医療機関もサービス業だと思っています。レストランで食事を提供するように医療機関は医療を提供します。その時、気持ちよく食事をできるようにホールを担当する人たちが笑顔や細かな気遣いで対応してくれています。今どき大抵のレストランや料理屋で「内の料理人は愛想がなくて」なんて話は来た事がありません。ホールの人以上に、必要に応じてきちんとたいおうしてくれる人が私が使っていたホテルやレストランでは当たり前でした。
 翻って医療機関、特に今回の対応ではどうだったか?まるで医師は「私は治療行為の専門家で、他は看護師やソーシャルワーカーの仕事。だから知らない」と言わんがばかりの姿勢に見えました。それなりに有名病院ですから、腕は良いのでしょう。が、サービス業としては落第です。と敢えて言わせていただきます。
 もっと言えば、家族と接する機会を作るのであれば、それなりに「人として」と言う認識を持って接するべきではないでしょうか?私の父は高齢ですし、様々、厳しい面があることは家族が充分に知っています。それだけに、ただただ「医療の専門家」としての意見を言うのでは無く、一縷の可能性があるなら、それを伝えてほしいし、無いのだとしても「希望は捨てずに」と言う一言が有ってもよかったのではないでしょうか?

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