うつの人を焦らせないで、驚かせないでパニックになるから
焦る場面はパニックに
障害者手帳を頂くと、バスなどで割引料金が適用されます。都道府県などで適用範囲などがかなり違うと思いますが、東京都内なら、都営交通なら無償になっています。このため、健常だった時にはGoogle Mapや乗換案内で「一番早く行こうとしたら」とか「一番安く行こうとしたら」で検索して経路を決めていましたが、今は「バスで行けるかな?」とか「都営地下鉄使えるかな?」と、自力で経路を作って遠出することがあります。
地下鉄や都電なら良いのですが、バスだと30分に一本間隔など、結構不便なルートになることも良くあります。で、これで問題なのがギリギリでバス停に着いた時などです。いつもバッグの決まったところに障害者手帳を入れているし、都営交通のパスはパスケースに入れているので焦る事は無いんですが、障害者手帳がバッグの中で行方不明になることがあります。余裕があれば、じっくりと探して乗り込めますが、これがギリギリだとそうも行かない。で結果、普通料金で乗る判断になるんですね…。そうなると、冷静に考えれば電車で移動したほうが安かったりもしますし、バスに乗って少し落ち着いて探すと簡単に見つかるところに「さっきから、ここに居たんですが何か?」という感じで障害者手帳が見つかったりと…焦ると碌なことがありません。これ、健常でも当たり前に経験する事ですが、うつになってからは動悸はしてくるし、手は空回りしてくるし、更には「どっかで落とした?!」と心配も沸き起こってきて完全にパニックです。
同様なのが、不意の尿意です。人間の身体の不思議なのですが、ある一点…例えば痒みや痛みが気になると、どんどん気になるもので、尿意も気になる、かつトイレが見つからない!となると、物凄いパニックに陥ります。Google Mapでトイレを探して見つからないとコンビニやパチンコ屋を探してみたり。冷や汗・脇汗をかきつつ、どうにかやり過ごすと言うことになりますね。
(なので、知らないところに行く時には尿漏れパッド(ライフリーさわやかパッド)を付け、予備も持ち歩くことになる訳です。
そうでも無いときもあるんですが…
ただ鬱くんの厄介なのは、多少焦っていても平気な時もあるんです。寧ろ「これも訓練だ。焦れ!」と自分を軽く追い込んでみたりもします。それで動悸も起きなければ試験成功。とは言え、そんな追い込みが出来ている時点で鬱くんはお休みしていて、酷いパニックにはならないのですが(笑)。
これが安定していれば、鬱くんは気まぐれに起きてきますから、先程書いたような状態に陥る訳です。
驚いた時も
例えば、道を歩いて横断歩道を歩いているのにクラクションを鳴らされたり、前にも書いたと思いますが警官から職務質問をされた時など「びっくらこいたぁ〜!」と言う場面でも、動悸が起きたり動揺して気持ちがワサワサして落ち着かなくなったりします。
これ私自身は健常だった頃には耐性が有った方だと思うのですが、今は厳しいですね。びっくり→心臓が口から飛び出す。というロジックが出来上がっているようです。恐らくパニック障害の人などだと、もっと酷いことになるのかもしれませんね。
それだけに、うつをはじめとした精神疾患の人の多くは、できるだけ静かな水面を歩くように何の凸凹もないところを歩いていたい生物なんです。
現実には
しかし現実には、そんな環境はありません。街中や人のいるところで耳にノイキャンのイヤホンをしていても大声の素っ頓狂な笑い声や電話で怒鳴っている声は入ってきます。自分のドジや不注意や、ラッキーすぎるタイミングでバスが来て障害者手帳が見つからないこともしばしばあります。山道を歩いているようなボコボコな状況にある訳ですね。これは精神疾患を持つものとして先刻承知!な事な訳です。だから「外出が怖い」と言う人達も自然と増えてきます。ただ、外出を控えていると、どうしても心が閉じて行くように思います。内省的になりすぎると言うんでしょうか?更にはうつの治療法などを見ると「外に出ろ」「散歩しろ」と書きまくられていますから、引きこもる事に罪悪感を感じたり自己否定に駆られる人もいます。
そして身体の障害があるような人、また老人なら外見で障害や不自由な事が判りますが、精神疾患の場合、外見では識別できませんよね。たまに精神疾患で「ヘルプマーク」を付けている人を見かける事があります。ただ付けているだけではなく、仔細に書かれているので「結構、大変なんだろうな」と判ります。
私自身は、正直、どうしようとも考えず、現在ただいまヘルプマークは付けていませんが、寧ろ精神疾患の人たちが晒されている偏見、あるいは人の優しさを感じられる機会になるなら…そして正直、動揺して立っているのが厳しい時に優先席に座らせて貰いやすくなるように、現在、ヘルプマークを付けようかと前向きに検討中です(笑)。
ヘルプマークには優しく
別に精神疾患に限らず、ヘルプマークを付けている人には優しくして欲しいですね。別に崇め奉る必要はありません。例えば道を歩いている時に目の前でヘルプマークを付けた人がユックリ歩いていたら
ゆっくり歩いているなぁ→邪魔だ!
ではなく、
ゆっくり歩いているなぁ→スピード出せないもんね。
程度で良いんです。
間違っても、驚かせたり、焦らせるような事はしないでください。そして私自身、精神科に通っていますがヘルプマークを付けていない患者さんが大半だと認識しています。それだけに、ゆっくり歩いている人の中には、何らかの事情があってゆっくりしか歩けない人がいるのは確かだと思っています。ですから、ヘルプマークが無くても他人に優しく、そしてヘルプマークがあれば確実に優しくして欲しいと思っています。