苦しさを軽減するために

 私は幸い結婚をして妻がいます。このお陰で、とても助かっています。妻の立場にすれば経済的にも苦しく、気を使わなければならない場面もあり大変だとは思いますが…。

 うつは多くの自覚症状が発生してきます。今までなら「気のせい」「疲れているから」で済んでいたものが、うつ、特に急性期にはそれでは収まらない「不安感」と共に例えば「面倒臭さ」や「疲労感」がつきまとうのです。歩くことだけを取り上げても時速で1km/h。今まで30分もあれば歩けた距離に2時間ほど掛かる計算というか、実態になります。回復期の今でも3km/hと多くの人に抜かされるペースで歩くのが通常ペースになっています。このように「普段ならできていたのに」と思うだけで焦燥感に駆られるものだと思います。
 食欲にしても、一人で外食をしていると選ぶことが面倒になり毎日同じ店で同じものを頼むことが当たり前になります。
 更に渡しの場合には服用していた薬の副作用から失禁なども起こり易くなり、外出がどんどん億劫になっていきました。
 こうした事を陰日向から支えてくれているのが妻です。

カミングアウト?

 カミングアウトと言うのが適切かどうかは分かりませんが、私の場合、自己紹介などが必要な場面では「うつです」と言うようにしています。企業内などでうつをはじめ精神疾患を持つ人に一定の偏見は存在するものだと思います。実際、私もかつての勤務先で人事から言われたことです。が、実際に離職後から今まで多くの方とお話する機会がありました。が、うつや精神科に通院していることで驚かれたりしたことは幸いほとんどありません。逆に離職などから役所に行って(最近のお役所は親切な対応が多いのですが)、うつと言うことを知ってか知らずかぞんざいな対応をされたことはありましたが、この場面ではうつと言うことは事前に言っていなかったので、対応された方の個性だったんだろうな。と思っています。役所などではうつなど精神疾患や障害を持つ人のための窓口があったりしますから、そういったところで嫌な思いをしたことはありませんね。
 一般の方とお話するときでも「うつをやりまして」と言ってからお話をしても概ね何ら問題なく会話をしています。だから、私自身、どんどん積極的に話に織り交ぜている状況です。ある方からは「印象に残るから個性みたいなもんだね」と言われていたりもします。だから、臆せず自分がうつ病患者であることはお話したほうが何かとスムーズに話ができるのではないかと思っています。

近親者への告白

 先程も書いた通り、妻はサポーターとして重要な存在です。自分がうつや何らかの疾患がありそうだと考えて「精神科に行こうと思う」と告げたのも妻が最初です。逆に言えばギリギリまで言うことは出来なかったのです。今になって思えば、もう少し早く気軽に言えたのではないかとも思いますが(笑)。
 妻の親へは比較的早い段階で妻から診断結果が伝えられましたが、私の両親には回復期に入ってから伝えることとなりました。これは両親が高齢なこと、また余計な心配を掛けたくなかったこと、そしてそれほど日常的には会っていなかったからと言うのが理由です。
 実際、回復気に入り両親に話したときにはびっくりもされましたし、家系的な問題があるのか?入院は?など矢継ぎ早に質問が来ました。が、それなりにシミュレートし、資料なども作って説明したせいか大きな心配を掛けことなく知らせることができ、ある意味「余計なお世話」のような事もなく今まで来ています。

パートナーなどがいなければどうする?

 このように渡しの場合には良き妻や近親者、また他にも良き理解者がいてくれて助かっています。この経験から言えば、もし一人暮らしで両親や近親者もいないのであれば、友人に話してみるのは良いことではないかと思います。個人的な思いで書けば、会社の同僚以外の方が客観的に話せるのではないかとも思います。
 よく「職場の上司に相談しましょう」と言うアドバイスが出てきますが、私の場合には私なりのSOSを出した段階で「痛いの痒いので言い訳をされてもね」で一蹴をされた経験から、上司の人柄によっては寧ろマイナスになるケースもあるでしょうし、その上司が原因や要因となってうつ発症に至ることもあるでしょうから、これはケースバイケースとしか言いようがありません。
 また、精神科によっては医師自身あるいは専属のカウンセラーがいる場合があります。ただ、通院時のみで一定の限られた時間でしか話ができません。これは「アドバイザリー」として理解者やパートナーとは少し別の位置に居ていただくべきかと思います。