社会保険と自立支援制度、団体保険の利用

 急性期の間に有給休暇や私傷病休暇が終わってしまうと「無収入」になってしまいます。これでは治る病気も治せません。そこで利用すべきなのが会社が加入している健保組合が提供する「傷病手当」の利用です。そしてもう一つが、治療開始から半年で資格が発生する「自立支援制度」の活用です。また会社が加入している「団体保険」の保険料も見逃せません。

傷病手当

 傷病手当については所属する会社の人事から通知が来るかも知れませんし、私傷病を含む有給休暇が終了する可能性が高くなったら人事部に問い合わせをして受給資格の有無を確認しましょう。受給資格があれば、必要な書類を人事を通じて、あるいは直接、保険組合に依頼して必要な書類を取り寄せる事になります。この経路は人事部に確認しましょう。この事で給与の何割かが傷病手当金として支給されることになります。但し、注意する必要があるのは、提出しなければならない書類の中に医師が書き込む欄があること、つまりクリニックに提出して書き上がりを待つ期間が発生します。また、その他にも勤務先が書き込む必要のある欄もあるので、これらを充足して会社から健保組合に提出するのか、それとも自分で纏めた上で提出するのかを確認しましょう。私の場合、約1.5年をこれで過ごすことになりましたし、概ねは会社側で対応して貰えたので、こちらはクリニックに定期的(月一回)に書類記述を依頼して、受け取るという作業と、これに伴う費用を負担するだけで済みました(一般の診断書よりはかなり安く記入してもらえます)。

自立支援制度

 これは都道府県で実施している制度でざっくりと書くと

  • 一定期間(半年)の治療が続いていること
  • 都道府県が指定する申請書(診断書を含む)を提出すること(市役所や区役所で受け取れます)
  • 申請書には自分が通院しているクリニック1つ、薬局1つを決め記入すること。またクリニックによって対象の疾病が記入されます。
    (場合により、クリニックが申請対象外になっている可能性があるので、これはクリニック選びの際に注意しておきましょう)

この申請は誤記等がなければ、ほぼ申請が通るようです。そして、この制度によって、
① 対象の疾病に限って対象のクリニックでの診察料等が1割負担に軽減されます。
② 対象の疾病に限って処方される薬代が1割負担に軽減されます。
③ ①と②の合計額が一定金額を超えると超えた金額は支払う必要がなくなります。(一定金額は収入に拠って変わります)
但し、申請の際に正式の書面が来るまでには3ヶ月程度掛かるようです。では、この間、制度が適用されないのかと言うと、そうではありません。クリニックと薬局によって変わりますが、市役所・区役所に提出した際に役所による押印が行われた本人控えがあれば、制度を適用してくれます。これも、クリニック選びだけではなく、申請前に薬局で確認しておきましょう。(私の場合、調べてはいなかったのですが、この制度をソーシャルワーカーに聞いた時にクリニックはOKだと言うこと、また、その足で処方薬を受け取りに行った薬局で確認した際に確認したらOKだと言うことで申請前に慌てる必要もなく済んだのはラッキーだったのかも知れません)。
 なお、この際に必要な診断書は都道府県ごとに違う書式になっているようなので、クリニックが所在する都道府県ではなく、在住の都道府県の書式を取り寄せる必要があります。また、クリニックにより変わると思いますが、記載には比較的、高い費用が必要です。

団体保険

 多くの会社では社員に団体保険の加入を強制しているかと思います。普段は気にしていない保険ですが、これが案外、効いてきます。中には精神疾患に対する特約がついていて、意外に多額の保険金を受取る事ができます。但し、これも保険会社が指定する診断書の提出が必要で期間も費用も高額になります。その為、傷病手当のように毎月請求しているとコスパが悪くなります。私の場合ですが、概ね半年ごとに請求をしています。また、この団体保険の保険金請求期間は退社後も継続していることが多いと思うので保険会社から送られる案内書などに目を通しておきましょう。

全体として

 回復期でも面倒に思うことが多い、これらの手続きです。急進期なら尚更、面倒です。更に急進期の間に障害者手帳の受給資格ができる(急進期の間に6ヶ月が経過してしまう)場合、できるだけ早く手続きをしてしまう方が良いでしょう。詳細は、こころの情報サイトさんがわかりやすいと思います。
 でもいずれにしても会社員としての収入よりも減収になります。急進期には「休め」が絶対に言われることですが、これは、中々、代理人だけで済まないと思うので気合をいれないといけない作業になります。感覚的には毎日、役所と病院に行っているように思う状況になってしまうかも知れません。ただ、私の住んでいる区では担当窓口の人たちが精神疾患の患者に慣れいてるせいか丁寧に対応してもらえるのが救いです。
 また私の住んでいる区では本庁にしか対応窓口がないのですが、同様の市区町村は少なくないと思います。私の場合、徒歩30分程度の距離にあるので散歩代わりに行けるので助かるのですが、不便なところに役所がある場合にはちょっとしたストレスになるかもしれませんね。