当てずっぽうでは問題があります!

 いざ「治療するか」と思った時に起きる障壁が「どこに行けば良いの?」と言う問題です。厚労省の担当に聞いても(私の場合)「東京都の窓口に聞けばアドバイスが貰えると思いますよ」と言われますし、東京都に電話をしてみても「ホームページに一覧がありますから」で終わりです。つまりは、自分で探さないとなりません。
 通常の病気、例えば「風邪かな?」と出先で感じて医者を探す時には、同僚や知人などに聞いてみると言う手が使えますが、精神科では中々、そうは行きませんよね。そして、内科医と違って基本的に完全予約制になっている…歯医者さんと同じようなシステムになっています。だから、予め自分で「ここなら」と言う見当をつけておいて予約をしないとなりません。
 「なら、手当り次第に行ってみれば良いじゃん」と思うかも知れませんが、これ、後々、痛いことになりかねないので、充分に見当しましょう。痛いこととは、公的扶助…例えば障害者手帳の申請の他、知っている人は知っている自立支援制度、障害年金の申請などに影響が出てしまうのです。これらを申請するには「指定された精神科に一定期間通院していること」や「指定された精神科を掛かり付けとして登録し、そこでの受診料に支援が行われる」と言う制度なので、「あの医者は相性が悪い」とかと言って、ポンポンと移り変わるとこうした公的扶助が受けられなくなったり、申請までの期間が遅くなってしまう可能性があるのです。できるだけ、一発で「ここだ」と思えるところで受診をするのが、この面では最良の選択と言えます。

どんな精神科が良いの?

先程書いたように、東京都と同様に各道府県に専用の窓口が用意されていると思います。そこで案内されるサイトのページに公的扶助の対象となっている精神科医の一覧があると思います。そして、その多くがクリニックのサイトを掲載しているので、そこを見ましょう。チェックポイントとして

  1. 公的扶助の対象となっているか?
  2. 家から近いか?
  3. 予約金など自由診療のような費用が必須になっていないか?
  4. 明るい雰囲気か?
  5. ソーシャルワーカーやカウンセラーがいるか?
  6. リワーク施設が併設されているか?

と言ったところでしょうか。「口コミサイトの評判は?」となると、私自身の経験で言えば、情報の鮮度が悪く2年以上前の書き込みばかりで、参考にすべきかどうかが解りません(ただ悪評は参考にすべきですね)。そして、上の太字にしたところは「MUST」です。1については、公的扶助の対象になっていなければ、先程書いたような事が受けられなかったり、面倒になったりします。2については、自分では「通勤しながら治療できれば」と思っていて(私がそうでしたが)職場近くも選択肢かなと思っていても、ドクターストップが掛かって「出来るだけ明日から休んでください」と言われる可能性があります。そして急進期の辛い状況を考えると遠出自体が苦行になってしまいますから、自宅に近いほど良いと言えるでしょう。3については、私が調べた中では一軒しかありませんでしが、サラリーマンの小遣い程度に見える金額でも長期の治療になり、休職(=無給)になったりすれば、相当な負担になるのが予想されます。それだけに、こういったクリニックはお勧めし辛いのが私の意見です。4からは「better」なところですが、古い人間の精神科のイメージは監禁病棟があったりとダークなイメージが強かったりします。そしてサイトの印象も暗めなところもあります。私は、そのようなイメージを受けるところは避けたいと思いました。なんだか、その暗さに引っ張られそうな気がしたからです。だから、できるだけ明るい雰囲気のクリニックをお勧めしたいですね。5については、医師がソーシャルワーカーの知識を持っているところなどもあるので、サイトにかかれていないところがあります。この場合にはソーシャルワーカーやカウンセリング費用が保険適用される場合が多いので楽なのですが、書かれていれば費用は掛かるものの公的扶助やカウンセリングが治療の一環で受けられるので便利です。そして6は「自分は勤め先が好きだし、是非、復帰したい」と考えられている人には便利だと思います。ただ、費用の高低を比較したことが無いのですが、企業として運営しているところもあります。

こうしてフィルターに掛けて行くと、リストでは大量にあったクリニックが、かなり減ってくるかも知れません。そして、残ったところに電話で予約…と言うよりインタビューです。その時に質問すべき事項を書いておきます。

  1. いつ予約が取れますか?
  2. 最初のヒアリングに、どのくらいの時間が掛かりますか(時間をとっていますか)?
  3. ソーシャルワーカーの支援やカウンセリングに費用は掛かりますか(保険適用ですか)?
  4. 自立支援は申請が完了した段階から受けられますか?

この4つは最初に聞いておきたい項目です。正直、こんな事を殆ど知らずに電話してしまった私で、1と2だけ聞いて今も通うクリニックに出会ったのですが…。まぁ、ラッキーだった方だと思います(笑)。
まず1ですが、これは自分の状況次第です。比較的多くのクリニックが初診の患者さんには時間を掛けるので予約が取りにくいですし、一般のクリニックと同様、木曜日・土日休みのところも多いので「なるべく早く」と思っていても、そうは行かない事も多いのではないでしょうか?私の場合、電話したクリニックは殆どが「一番はやくて来週ですね」と一週間待ちばかりでした。2については、一番、重要かもしれません。これがあるので初診はどうしても時間が掛かるし、予約が取りにくいのだと思うのですが…。紋切り型で薬だけ出されるような治療では、中々難しいところがあるでしょう。それだけに初期のヒアリングの有無、その時間は確認しておきましょう(患者さんごとに違いますと言われるかも知れませんが、初期ヒアリングの有無だけでも、かなり重要な判断基準です)。3は、先程の5と絡む点です。特にカウンセリングは医師が行えば保険診療、カウンセラが行うと自由診療になります。その為、一回当たりの費用が結構、高くなります。但し、急進期からカウンセリングを受ける事は余り必要ないように思っています。それよりも、休養と服薬、そして気晴らしついでの外出を大切にしながら回復期に近づいた時点で医師からのアドバイス、あるいは自分から「カウンセリングを」となってからと言うことになると思いますし、高頻度で受ける必要はなく私の場合、初期は月イチ、今は二ヶ月に一回ですので、痛いと言えば痛いのですが、首が回らなくなることはないと思います。また、3のソーシャルワーカーについても、公的扶助の時期の申請可能時期を調べておいて、その時期が近づいたら受けるという形で、自由診療でもそれほど高額にはなりません。4は結構、重要です。申請が終わると本人控えとして市区町村の役所の認印が押された紙を渡されます。これがあれば自立支援として受診料の10%の費用負担で済むクリニックがあります。クリニックによっては、これでは駄目で正式に自立支援の証書が発行されないと適用されないところもあります。これは薬局も同じなのですが、薬局は最初の通院で処方された段階で確認して、もし駄目なら、次の診療でと申請までに必要な半年間の受診期間の間で見つければ良いので最初からビンゴを狙う必要はありません。