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発病・発症前?
うつになってみると「いつから、おかしくなっていたんだろう?」と考えることがあります。後々にも書きますが、うつ病を含め精神疾患の多くは早期発見で早期の寛解(治癒)がしやすくなります。遅れれば、遅れるほど、言い換えれば我慢してしまえば、しまうほど、症状が影で進んでしまう傾向があります。
そのためにも、まずは、私の経験した事柄で考えてみたいと思います。
なお、これらの事は10年ぐらいのスパンで起きていたことです。改めて考えてみると、徐々にうつが進行していったように思います。なるべく早いときに気づけば、もしかしたら、今、「寛解」として記事を書けたかもしれませんね。
時間感覚、記憶が曖昧に
思い出せる限り、一番最初に思い浮かぶのがこれです。この状態が発生する前、当時の努めていた外資系企業で言いがかかりのような形で社員を解雇する事例が多発していました。これは、中小規模の外資企業に努めた経験がある方なら噂でも聞いた事があると思いますが、例えばCEOが交代した時、カントリーマネージャーが交代した時に起きやすい事です。
幸い、私の場合には成績の良い子だったので(笑)、他の人が指名解雇のような状態に入っていった中でも生き残り、逆に解雇の通知や脅しのような事の聞き役に回っていました。このため、自分も「ヤバいな」と思い、転職活動を同時に始めていたのですが、まぁ、中々決まらない。そのうち、お鉢が私にも回ってきます。その頃には聞き役をやっていたお陰で会社側の手口も解り、また良い弁護士さんを元社員からも紹介してもらえたので、転職先が決まるまで粘れるだけ粘ろうと決意しました。そして当然、解雇でも辞職でも出来るだけ良い条件を引き出すことも必要です。
最初のうち、会社からは日付を指定せず「すぐに辞表を提出しろ」と言う内容の文書が提示されていたのですが、弁護士とも話しながらノラリクラリと対応し続けていました。しかし、徐々に、その内容が詳細化され「◯月◯日までに提示しろ」と変わってきます。こうなると片方で会社が飲みにくい条件、例えば退職金の増額や守秘義務や協業他社への転職制約などの労働契約の見直しなどを含めて弁護士と話し合いながら、会社が提示した日付までに会社が提示不可能な状況に追い込みます。そうすると、会社側も仕方なくそれらの手続きが飲めるか飲めないかを協議し、更に書面の準備などをするために提示した日付までに会社側の回答が出てこないのですね。そして、書式が整った段階で、また穴を探し出して日付を伸ばさせる。と言う繰り返しを何度かやっていきました。
その中で「出社に及ばず」と言う別の制裁が加えられてきます。まぁ、これはこれで飲みましょうという事で、弁護士のアドバイスもあって頭の中には「残り何日だな」と言う不安感を懐きながら会社からの書式を待つことになります。
幸い、そろそろ潮時だなというところで転職が決まり、そのタイミングで会社書式の穴探しを止めて辞表提出に合意します。
ただ、転職後に明らかに「おかしい…」と思うことが起こります。それが、見出しの時間感覚の異常です。朝を夜と勘違いするようなことは無いのですが「何日前」「何週前」と言う日付は、それまではメモ帳やカレンダーが無くても大抵、思い出せる程度の記憶力があったのですが、完全に壊れている事に気づいたのです。「あれ、それって先週でしたっけ?」とか「火曜日やったヤツ…あ、水曜日ですか」とか、よほどその日付に思い入れがなければ頭の中のカレンダーがぶっ壊れていたのです。が、これは、メモやノートなどに記録しておけば問題が無く過ごせたので、特に業務に支障はなかったのです。が「うっちーが◯◯社に通っていたのって、何月からだっけ?」と聴かれると一々、ノートなどを見ないと解らないのですから、てっきり「俺の記憶力も歳だな」と思ってスゴスゴとノートを取り出し、日付を確認してを繰り返す日々でした。
議事録でも、そうですね。それまではそれほど詳細にノートを取らなくても議事録をほぼ完璧に書き出す事ができたのですが、この頃には「あれ?これは前回だっけ?それとも前々回だっけ?」となってしまい、同僚などに聞きながら補正をすることでカバーをし、更にノートの活用が増えるようになりました。これも「記憶力、低下してんなぁ」で歳のせいにしていたのですが…。
これは一種のパワハラだったのですが、この当時「セクハラ」には厳しくても「パワハラ」は定義された言葉となっておらず、労働基準局などに言っても、あまりマトモには取り扱って貰えなかった記憶があります。ただ、パワハラ、特に「明日の生活」に不安を抱える状況は確実に心を蝕んでいきます。
眠ることは罪?恐怖!
そのうち、ある案件に携わるようになり、日米豪でのやりとりが増えるようになります。時には早朝にオフィスに入りテレビ会議システムをセットアップし(若手に頼んだら「私、技術的な事解りません!」と断られ、他に誰も立候補してくれないので私の作業に…)、一時間程度、3拠点を結んでのミーティング。それを別の人に議事録を頼むと「私、英語わかりません」で、私が議事録を書き、それも日本語と英語で書いて、それぞれの参加者に送付します。それを午前中に終わらせると、顧客向けの資料作りか打ち合わせです。資料作りならまだしも、打ち合わせの場合、その議事録はさすがに他の人間がやってくれるのですが、そこから浮かび上がってきた課題などは英訳して米豪に送付しなくてはなりません。更には、ここから宿題となった部分のうち、日本側で対応できる事は残業して片付けなければならないのです。
ここまでやって帰宅。大体10時ぐらいですかね。そして、米豪への資料を見直したり、リプライが来ていれば、それに対応したりしていると、寝る時間が2時ぐらいになります。早朝の3極ミーティングが無くても8:30には会社にインしていたので(PCのセキュリティソフトが重すぎて、30分は立ち上がらなかったので…)、家を出る時間は7時、朝飯を食べたりシャワーを浴びる時間を考えると6時には起床です。となると、4時間睡眠が常態化。と言っても私は寝付きが悪いので、大体3時間睡眠だと思ってくれて構いません。
これに突発対応などが入ると徹夜覚悟です。そして、更に酷くなってくると、夢見が悪くて(大体、仕事の夢です)目が覚め、そして仕事の事を考え始めて寝付けない。これも実質、徹夜。それが続きます。
寝なくては疲れも取れないのですが、寝ること自体が罪のように思えましたし、酷くなると寝ることが怖くて仕方なくなってきます。そうすると寝付きが更に悪くなる。悪循環です。結果、寝溜めのように土日が休める時には夕方まで寝ることもありましたし、休めない状況(が多かった)では午前中いっぱいを睡眠にあってて、何とか辻褄をあわせるようにしていました。
このように「ショートスリープ」が常態化するのは、かなり危険な兆候です。この常態は、回復期に入っても続いていて、眠剤がなければ安定して眠れませんでした。
また、これは無性にイライラを引き起こしたり、作業効率の低下をもたらすので「寝るのが怖い」と言うだけで、クリニックに行っても良いんじゃないかと思うくらいです。
脚が重い、身体が痛い
よくある表現「足が重い」ですが、私の場合は「脚」です。太ももの前、スネなどが重くて仕方がありませんでした。発症前にはリモートワークが主でしたし、それまでも取引先への直行直帰も多かったので、会社に行く必要は少なかったのです。が、重要な会議や定例会などでは対面打ち合わせを前提としていたため、出社をしなければなりません。そうすると、特に会社近くの駅についてから会社までの距離が遠く感じるのです。その理由が「脚が重い」ためです。もも、スネの筋肉が強張って足が前に進まないのです。これでは、実際の距離よりも長く、普段よりも時間を掛けて出社することになります。その他にも、足の裏、土踏まずが異様に痛みを出したり、肩の痛みなど歩く時に気になる痛みが生まれてきました。これも最初は「歳のせい」と思っていたのですが、最終的には、この常態が普段の徒歩にも顕在化してしまうことになります。これも要チエックです。
便秘・蕁麻疹
先程書いた、大揉めの末に止めた会社。私よりも先に辞めた(辞めさせられた)人に手指の表皮がボロボロになっていた人がいました。彼曰く「例の事から、ストレスで皮膚がダメになってきている」という話でした。そして、私も会社と揉め、そして激務の日々に入ると蕁麻疹が出るようになります。二人の共通点は「皮膚」です。皮膚は意外かもしれませんが、ストレス状態の計測器のようになってくれます。ストレスが溜まると皮膚の免疫、防御力が下がり元同僚のような酷い肌荒れや私のような蕁麻疹がでるようです。また人によっては帯状疱疹にもなることがあるようです。というか、私もなりました。
このように皮膚の状態が危険性を本人に知らせてくれる事があるので、単に皮膚科で対処療法してもらうだけではなく、ストレス状態を試してみると良いと思います。
もう一つが便秘です。いや、便秘と下痢の繰り返しと言ったほうが正確ですね。これは、数週間、お通じがなくなり、そして便意が起きると下手をすれば一時間は引きこもるような状態で排出する状態になります。その間、リラックスを心がけてみたり、ウオシュレットを使ってみたり、あるいは気張りまくったりと、様々な手を尽くすのですが、出ないものは出ない。かと言って諦めて再挑戦をしようにも出かかっている部分はある。にっちもさっちも行かないのです。
この便秘期が終わると、周期的に来るのが下痢です。特に出勤前にはコンビニや駅のトイレに駆け込むしかありません。危機状態で、恐らく真っ青な顔で飛び込む様子は気づいた人にとってはヤバい人にしか見えなかったでしょうね(笑)。
特に便秘症や食生活に大きな変化が無くても、何週間も便秘ですごしたり逆に期間は短くてもルーティーンのように便秘の期間が終わると、下痢が襲ってくるのは、皮膚と同様に腸が自分に危険信号を出しているのかもしれません。
やる気がでない
先程も書いたようにリモートワークをしていた時、ある案件が一段落したところで新しい企画書を作ろうとしていました。が、掛けません。頭の中にある企画をキーボードを通じてPCに書き込むことができないのではありません。完全にからっぽになってしまうのです。これがもしかしたら芸人さんでうつや適応障害になった人のいう「パッカーン」と言うヤツなのかもしれませんね。
ものの見事に仕事の事やお客さんの事を考えると、気力が萎えていくのです。
また、普段の打ち合わせなら率先して反論でも正論でも話していたうっちーだったのですが、この頃には大体の話が耳を右から左に通り抜け、発言を求められても自分の事だと認識できず、再度促されて発言したりする事が激増してきます。また、何かを言おうとしても、言葉が出ません。色々なサイトを見ると「考えがまとまらないから」と書かれていることが多いのです。それも一つの理由だと思います。が、もう一つは「仕事に取り組む意欲が爆下げしているのです。だから真っ白な状態で話をしても話になりそうもないので「特にありません」としか言いようがなくなるのです。
特に理由もないのにこの状態になったら、確実にクリニックに行くべきです。本来はやる気が出せる。出さなきゃと思っているのに、言葉に出来ない状況になり、かつやる気も無くなっているのなら、生命エネルギーとでも言うのか、活性状態にならないのですから、絶対に自分でも自分の異様さを自覚できるはずです。また、この状態を「歳」で説明するのは困難ですよね。
こんな兆候があったりしたら
これらは私自身が振り返った「うつの兆候」です。一つでも当てはまったら、メンタルチェックをしてみましょう。これは会社が行うものではなく、今、自分ができるものです。幾つかWebでできるものを紹介しておきます。
こころの耳(厚労省)
ストレスセルフチェック(ココロボ)
ストレスを自覚しましょう(長崎市)
そして、あまり良くない結果が出たら、一度、匿名でできる相談窓口に連絡することをお勧めします。下は厚労省のものですが
働く人の「こころの耳相談」
私自身、ここに電話してみました。メールやLINEでも相談はできるようですが、電話の方が人間として答えてもらっている印象が持てました。聴かれる事は自覚症状や自死願望の有無などです。匿名ですから、自分のプライバシーをあからさまにする必要はありません。そして、私の場合には早期の治療を勧められました。ただ、病院などは紹介してもらえず、住んでいる都道府県の相談窓口の電話番号を教えてもらえるだけです。東京都の窓口の場合、東京都のサイトにある病院・クリニックの一覧があるページへのガイドをしてもらえるだけなので(それまでに、厚労省と同様の質問があります)、もし、自力で東京都なり、良さそうなクリニックを探せそうなら、そちらの方がひと手間省けると思います。
なお、このサイト内にある「精神科・心療内科の選び方」でも、私の経験からクリニック選びのコツのようなものを記載しているので参照してみてください。
※ 東京都のクリニック情報を参考として記載しておきます。
精神科・心療内科 医療機関名簿
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