急速に「回復」している!?
回復期に入ってくると「あれ?かなり良くなってきたな」と思う事があります。こうなると当然だと思いますが「復職の準備をしなきゃ」と考え始めます。実際、私自身、会社の復職申請書に必要事項を記入してクリニックに行きました。が、結論から言えば、カウンセラーからも医師からも止められました。
回復には入ってきているけれど、まだ復職に入るには早すぎると言う客観的な判断です。
服薬と回復状況の相互作用
回復期に入ってくると、薬が安定的に効いてきます。急進期には頻繁に服用していた頓服も、徐々に頻度が下がり必要のない日も出てくるのです。だから「良くなった!」と思うのは早計です。これは普通の病気でも薬を飲んだら身体が楽になるのと同じで決して寛解した訳ではありません。あくまで「回復期の端緒」に入っただけなのです。ここで無理をすれば急進期へ逆戻りする可能性も高いので、医師も復職をストップした訳です。重要なのは回復期に回復期として安定させ、寛解に向けて進むことなのであって、復職重視ではないのが医師の立場です。当時は悔しかったのですが、冷静に考えればプロとしての正しい判断だったと思います。
もしかしたら、だから「誤解」を生むのかな?
この時期の私は一日の大半をファミリーレストランで過ごしていました。コロナ禍の最中でも昼間のファミレスは賑やかで午後に入っても様々な人が訪れます。今でもですが発症以後ガヤガヤした場所が苦手なのですが、当時は本当に厳しくてイヤホンをしたままMacと向き合う日々です。が、時にはイヤホン越しでも聞こえる大声で話す人もいます。そんな中で今でも印象に残っている会話があります。
おそらく会社の総務担当者と損保の営業でしょう。
(総務担当者)「へぇ、精神疾患も対象なのね」
(営業)「ええ、カバーの範囲はできるだけ広くするようにしています」
(総務担当者)「でもさ、うつなんかだと出歩けちゃうんだよね」
正直、そんな風に見ているんだと…思いましたね。出歩けます。急進期でも、散歩などできるだけ出歩きました。そして、出歩くことで回復させようと努力しました。そしてようやく回復期に入ってきて出歩く事にも、より積極的になっています。そんな中でとある神社の宮司さんの奥さんから「かなり元気になってきたみたいね」と言われるようになりました。が、復職はまだまだ出来ない。この時点で有給期間も終わっていて、傷病手当金が主たる収入になっていて生活も厳しくなっていました。それは他人から見れば「元気なのに何をやっているんだろうね」と映るのでしょう。これはこれで急進期とは違う辛い一言でした(その後、退職時には人事から更にショックな言われ方もしましたが)。
回復期の人は、事情を知らない人には「普通」に暮らしているように見えようになってくると思います。自分でも「普通」に戻れると期待していると思います。が、まだまだ「病気」なんですね。それだけに治療と自愛に集中すること、そして出来るだけ外部の刺激に慣らしていくことが大切だと思います(無理のない範囲で)。
別の言い方をすれば「他人の目」を気にする必要はありません。そんな事よりも、自分で自分を見つめ直し、自分にとって大切な事が何かを考える方が必要なんじゃないでしょうか。