うつは人生のリセットボタン

精神疾患で人生オワタ!なんてこたぁない

 うつ病を発症した時、私自身「これでオワタか。早く復職しなきゃ!」と大焦りに焦りました。時にはクリニックの医師と摩擦が起きたりした時期もあります。が、そんな事はない!と今では信じています。寧ろ、多くの人が言う「人生にリセットボタンがあればねぇ」がうつ病だった気がならないんです。つまり「うつ病(精神疾患)=人生オワタ」ではなく「人生リセット、やり直そうぜ」のスィッチだと思うのです。

んな事を言っても、出来ることも出来なくなったぞ!

 こう書くと「今まで出来ていたことが出来なくなった」「自分が消える事でリセットだ」なんて言われちゃうかもしれませんが、逆に「出来る事が増えた」と思えませんか?
 例えば「休め」と医師から言われたら、否が応でも自分の事を考える時間が増えます。ただ、急進期や厳しい時期は思考が混乱して考えていても、思考があっちこっちに飛躍して纏まらなくなるでしょ。でも、これを繰り返してると何となく哲学してる感じになります。そんな中で「何で生きてるんだろ?」とか「自分が好きなことをやっている時は、少し気が楽になる」とか、少しずつでも考えが深化していくんじゃないかと思います。
 また瞑想なんてやっていると、時にはゾーンに入ったようになることもあります。これも、健常だった時に働きづめだった人には「あり得ない時間」じゃないでしょうか?そして、瞑想をやっていれば気持ちが安定しやすくなりますし、ゾーンに入れれば鬱くんは勝手にすみっコぐらしになってくれたりします。
 これを足し算で考えていくと「自分の人生を考え直す」と言う貴重な時間を作る事が出来るわけですね。散歩をしながら、食事をしながら、布団の中でグズグズしてても、これが出来る状態だったら結構楽しかったりします。

復職だけを追い求めなくなると焦りが減る

 私の場合、概算で1年ほどの有給+私傷病+休職期間がありました。この期間の半分は「早く復職しないとヤヴァイ」と思って焦りまくりましたし、Youtubeなどでも復職について調べてみたり、リワークについて調べてみたりもしていました。ただ、この時点で医師の言葉を要約すると「時期尚早」だったと理解しています。これは医師だけではなくカウンセラーも同意見…と言うか、よりハッキリと「ちょっと早いんじゃない?」とハッキリと言われましたね。
 気持ちは「もう戻れる。戻れるんだよ」と叫んでいるんですが、今考えれば、この二人のプロの見立ては間違っていなかったと思います。タダでさえ長い時間を掛けて拗らせた私の鬱くんが、たった半年程度で収まる訳もなく、この時点で復職していれば、更に拗らせてしまっていた可能性…と言うより、間違いなかったと思います。
 で、この時期から「一度、全部の可能性を考えてみよう」「自分の好きなことで飯を食えるようになったら良いね」と考え始めるようになりました。ここから、かなり復職の焦りというより、「うつを治す焦り」から開放されたように思います。これまでも書いてきたように私の仕事の仕方が常に自分を追い込んでいた事が鬱くんを拗らせた要因だったのですから、「早く直さなきゃ」と言う焦りも自分を追い込んでいたわけです。これでは良くなるものも良くなりませんよね。

そして今はボランティアとして

 通常、社会復帰をするには「リワークが一番良い」と言いますが、以前にも書いたようにリワーク事業をやっている会社の説明会で強い不快感と不信感を持ったため、私にとっては「ボランティア」として、ある企業の手伝いをする道を選んでいます。企業側も私の気持ちの波を理解しているので、出来る時に動くという感じでお任せ状態なので、果たしてリハビリになっているかは、ちょっとアレではありますが。そんな中でも、様々な人と「私、うつでして」と挨拶をしてから、お会いし、お話をしている中で、今まで歩いてきたIT屋とは違う世界を覗かせてもらえますし、少しずつですがストレスを感じながら(😁)、そして度々「臆する自分」を感じながら、自分の好きなことを飯の種にしようとしています。
 そりゃ、これでダメならとても痛いですし、奥さんにも捨てられちゃうかもしれません。でも、多分、復職をしていた事を想像すると、かなり「良い選択」を出来ていると信じています。

今までの仕事は無駄では無かったよね

 それまでIT屋を長くやっていて、多くの人が会社からスピンアウトすると、やはりIT屋時代のコネクションを使ったり、それまでのスキルを活かして(?)今風に言えば「パートナーさん」、昔風なら「個人受けの外注さん」として仕事をしている人が多いと思います。が、今の状態で、そのような形で働く意欲は湧きませんし、個人受けの外注さんが味わう悲哀…と言うか、独特の「階級社会」で末端に置かれた人に対するパワハラもどきの無茶振りをする上位(元請けや下請け)会社の社員さんや同僚を見てきた私には、戻りたくない「魔界」です。
 なので、IT屋時代に頂いた名刺はほぼ残していますが、それを使って売り込みをしようとは考えませんでした。それより「リセットボタンを持ったんだ」という気で、スクラッチから自分が出来ることを考えて、今のボランティアをやっています。老父から「ギャンブルだな」と言われる状態ですが、これが以前のご縁を活かしてやっていたら、それなりに安全策を取れるのでしょうが、それ以上にご迷惑を掛けたり、あるいは…言いたくは無いですが、掌返しを何度も経験した私には、またあの屈辱と言うより、人間の汚いところを見たくはないので、ギャンブルの方が精神的には安全な気がしています(😁)。
 でも、これで今までの経歴や経験が活かせていないか?と言えば、そんな事はないんですね。やっぱり、ギリギリまで自分を追い込んで得た経験は入墨のように消える事のないものですし、出来なくなった事が増えた中でも、ひょっこりと顔を出してアイデアをくれたりします。また上司や同僚などから感じた「嫌な思い」も反面教師のようになって、出会う人に対してフラットにお話ができているように思います。IT屋の場合「取引先」がフラットな状態は少なく「上目線側」と「下目線側」が一般的…です(日本では)。上目線の側にいると、先程書いたように「無茶振り」が横行していたりしますし、下目線は言うべきことを言わない事が当たり前になります。
 それ自体が、私の嫌いな事なので…外資系の人間風に…特に意識すべき場面以外で、お客様であっても役職付けで呼んだことがありませんし、できるだけフラットにお付き合いすべきだと考えていましたので…。
 ギャンブルではあっても勝算なく、賭けているつもりのない鉄火場で自主リワークをもう少し続けて行きます。

リセットボタンは上手に使いましょう

 ただ、リセットボタンは何度も使えるものではありませんよね。ある程度の期間勤めていないと、私傷病休暇や休職、退職金や失業保険が支給されませんし、そのリセットボタンを貰うために焦って復職や就職をしたら、鬱くんを拗らせる材料にしかなりません。
 だから、リセットボタンは大切に使って、病状を改善しながら自分の厚みを増やしていくようにできると良いですね。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です