うつ病を改めて考えてみる

うつと診断されるまでの認識

 「うつ病」と聴くと「気分が沈んでしまう」「自殺志向がある」「引きこもる」というものでした。かつて、先輩が「ノイローゼ」と診断されて休職した時に聞いた様子が、これだったのもあって、こういうものだと思っていました。
 言い直すと「酷く落ち込んだ状態が続く」というもので、発作的に自傷行為に及んでしまうものだと理解していました。

実は「症候群」なんじゃん

 実際に「うつ」と診断される前から考えると「気分が落ち込む」なんていうのは一例で、実際には症候群ともいえるくらい、様々な自覚症状が出てきます。ただ、厄介なのは一つ一つの症状が一般的にも起こることであったり「単なる不注意」と言われるようなもので、それが断続的に続くので「ちょっとした不調」でやり過ごしてしまうことが前兆の段階ではやり過ごしてしまうのですね。そして「もぉ無理だ」と言うレベルになって初めて「あ、ヤバい」と思うものなんじゃないでしょうか。
 前兆から急進期を考えると
・食欲が落ちる
・仕事に集中できなくなる
・他人の言葉を理解しにくくなる
・自分の考えが纏まらず発言できなくなる
・作業ミスが増える
・作業・仕事をするのが怖くなる
・パソコンに向かっても、Officeを開く事が辛くなる
・便秘が続く
・出勤途中、急な便意に襲われる
・記憶力が低下する
・人と会うこと、会話することが辛くなる
・表情を作ろうことが億劫になる
・体重が急速に落ちる
・薬効で体重が急速に増える(過食になる)
・姿勢を変えることすら億劫になる
・テレビを見ることが辛くなる
・文字を読むことが辛くなる
・アポイントの日付を覚えていられなくなり、遅刻・ドタキャンが起きる
・歩く速度が遅くなる
・動作が遅くなる
・薬効により頻尿、更には我慢ができなくなる
・会話が億劫になる
・細かな作業(こんがらがった紐を解くことなども)が辛くなる
・突然、悲しくなる
・自分を消したくなる
・関節などの痛みが出る
・じっとしていられなくなる
・意味もなくイライラする
・ふらつきや躓き、転ぶことが増える
・ルーティンで無意識にできていたことができなくなる(電気の消し忘れなど)
・鉛の鎧を着たように全身、あるいは身体の一部が異様に重く感じられる
・悪夢を見たり中途覚醒が増えて眠ることが怖くなり、慢性的な睡眠不足になる
・食の嗜好が変化し、単一の食品・食材を食べ続ける事、飲むことが増える
・蕁麻疹など皮膚疾患が起きやすくなる
・偏頭痛が起きやすくなる
・声を張って話すことができなくなる
・朝、定時に起きても、薬効の影響などで二度寝していまう
・嫌な思いをした場所に近づくと、動揺してしまう
・適切な判断ができているか自信を持てない状況になると、動揺してしまう
・会話の途中で、自分がガラスケースに入ったように感じ当事者意識を失う
思い浮かぶだけ書いてみましたが、このように「気・心」の症状と「肉体」の症状とが押し寄せてきます。この上に、経済的な不安も起きてきますから、実際になってみると、とても「心の風邪」なんてレベルではありませんし、風邪のように症状が治まれば「全快ばりばり」になれない怖い病気です。

そんな重病なのに歩きまわったりするの?と言う世間の認識

 時々、街中でも聴こえてくる声で「うつ病とか言うけど、しょっちゅう出かけてるよね。どこがうつなんだろうね?」という言葉があります。最初に書いた私自身のイメージ通りの「うつ病像」じゃないと、うつ病らしくみえないんでしょうね。でも、医師のアドバイスに従って、億劫でも怖くても出かける事もあります。回復期になれば笑うこともありますし、会話も徐々に増えてきます。傍から見たら「え?うつ病?」と言われる状態でしょう。でも、その裏で頓服や向精神薬を飲んでいる事を知っている人は少ないでしょうし、知っていても「薬を飲めば健常者と同じようにできるじゃん」と思われるでしょう。
 でも、ここが悲しいところです。そういう事ができても、薬効が切れれば気持ちが沈み込む事も少なくありませんし、朝からやる気が起きず、頓服を飲んで無理に自分を動かすこともあります。更に言えば、頓服は飲まなくても「頑張れる」と思って活動したらリバウンドで翌日に凹んでしまって、朝は普段は飲まなくても過ごせる状態でも頓服なしでは出かけれらない事もあります。
 私のように身障者手帳3級で障害年金を受け取っている人でも、電車で目の前に老人が立っていれば席は譲る人も多いでしょうし、ヘルプマークもつけていない人も多いでしょう。そして私の場合、無理に寛解を目指さずうつと共に生きて行く覚悟を決めている人も少なくないでしょう。
 健常者の方がもしお読みになっていたら、身近に「うつ」や「精神疾患」と言われた人が居たら、そしてその人が通常通りに生活しているのを見たら、過剰に「頑張ってるね」なんて思わなくても良いです。ただ、心の中で応援して頂けたら嬉しいです。そして、もしヘルプマークを付けて、そこに精神疾患の事が書かれていたら、特異なものを見る目を向けず、ここに居るだけでも凄い事なんだと理解して頂ければと思います。
 そしてもう一つ、うつを甘えだと言ったり精神疾患の人たちに誹謗中傷するのは止めましょう。私達は犯罪者予備軍でもなんでもないです。犯罪を起こした人を叩くなら判ります。私だって精神鑑定の結果で不起訴になったりすると納得の行かないことが多いですしね。でも、精神疾患を持つ人達の99.9%以上の人たちは、自分が抱えている疾患の症状や不安と闘うことで精一杯です。その人達にSNSなどで誹謗中傷するのは止めてください。

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